[130121]
大正琴調弦器を、調べてみました
先日買った大正琴の一方に、「大正琴調弦器(ゼンオン製327)」が(オマケで)付いていて、それで各弦を調律したのですが、これの機能が気になったので、少し調べてみました。(左写真)
この「大正琴調弦器」は、弦の振動音を拾って“高・低”や“適正”を表示出来るタイプで、説明書に従って細・中・太弦3種の設定は出来たし、それで童謡を弾いてみたら、ちゃんと曲として聴けたのですが、本当に正しい調弦が出来ているんでしょうか?
楽器の「調音器/チューナ」には色々あるようで、音叉(おんさ)やハモニカ・タイプなどは、大昔触ったことがあるし、電子式も(HARD-OFFなどの)楽器売り場に並んでいるのを見掛けることがあるのですが、こんなのを触ったのは初めて! ... で、分解もしてみました。(笑)
結果、「大正琴調弦器」の「440表示」では、392Hzを検知しました。(む!え?あ!)
これは、『大正琴は開放弦で調律するのだから“ソ”=392Hzでいいのだ!“ラ”なら、当然440Hzになるハズ』と解釈するらしいですね。(驚)
つまり、「大正琴調弦器」と「通常の調音器」では、“周波数表示”の意味が違うことを、初めて知りました!
尚、琴の弦を弾いた時の波形は、幾つかの倍調波を含んでいるので、単純な正弦波ではない。(左上写真<クリック>)
だから、シンクロ・スコープ(IWATSU SS-5711D)/オシロなどでは、確かな周波数が捕まえられず。
結局、低周波発振器と周波数カウンタを使って、測定・表示出来た値で確認しました。
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測定器類
この「大正琴調弦器」は受音/聴音(?)タイプなので、適正な低周波音を“聴かせてやる方法”で調べねばなりませぬ。
そこで、音源として、スピーカと低周波発振器(KENWOOD AG-203 左写真<クリック>)を用意しました。
ただ、通常の裸スピーカだけでは、インピーダンスが8とか16Ω(オーム)と大変低く、一方、低周波発振器の方は600Ωなので、そのまま接続しても、まともに音は出せません。
なので、アンプ付きのスピーカを用いました。(左写真)
それで、調べた結果では、「440Hz表示」で同調した(「調弦器」の中央ランプ点灯)時、低周波発振器は「目盛り400Hz+」となりました。(ん?妙ですね!ズレが大きい)
太い/低い方の弦では、「目盛り200Hz+」でした。(ん?やはりヘン!)
(勿論、低周波発振器は「取説」に従って校正済み!...でも、目盛りの両端だけ合わせる方法なので、中央付近はアヤシイ?)
基準音と測定値
そこで、シンクロ(SS-5711D)に付属している周波数カウンタで、その音の周波数を調べてみました。
あれ、まぁ!同調した時の低周波発振器の“目盛り400Hz”は、何と「392Hz」だそうですよ!(左写真)
ん?でも、計算だと“周波数誤差”は、2%(=8/400x100%)”だから、まぁギリギリの値かな。
... けど、「調弦器」の方はアヤシイ?
通常、基準音「440Hz」(“ラ”)を受け取るはずなのに、「392Hz」(“ソ”)とは!
周波数カウンタを疑って、「CHECK」で確認したら、一応(7桁程度は)真面目にカウントしているようです。(左/上写真<クリック>)
これの方は「(温度補償された)水晶発振器」を基準にしているはずだから、3桁程度なら、まず“周波数誤り”は無いと思います。
ということは、やっぱ「調弦器」がアヤシイ?...いや、待てよ!...調弦は「開放弦」でやってるから、音は“ソ”のはずだよなぁ...
ワカッタ!「調弦器」の“440Hz表示”は単なる“見せ掛けの表示”で、実は(開放弦の)“392Hz”を検知してるんだ!ソウダ、ソウダ!
(非技術者への親切心でしょうけど、表示と中身とは違うんだ! ・・・ 便宜主義の行き過ぎは、間違いを生じる元になる!お互いに、注意しないといけませんね)
分解、主基板
「392Hz」はオカシクなかった!また、ほぼ正確だと分かって、一段落♪
そこで、(例の好奇心で、)この「調弦器」を分解して、中を見てみました。(左写真&<クリック>)
主基板の上に、Tuner用のチップ/IC Mitsubishi M37470M2
(「alldatasheets.jp」の資料)と、OPアンプ(C358)が載ってました。
これの周波数精度を決める水晶発振子X1は、電子時計用にも使われているもので、結構精度は良いと思いますが、(低価格の)電子楽器などの基本周波発生用に使われると、あちこちのキーで微妙に音が狂ってくるはずなので、私はあまり好きではありません。
(つまり、電子楽器の音などは分周して作るので“手抜き”をすると、部分的には良くても、全キーの音程は信用出来ないってことです)
まぁ、この「調弦器」のように、1〜3音の検出用であれば、問題は無いだろうと思いますが。
基板裏とマイク
コスト低減のために、片面基板で済ませてありますが、部品面にはジャンパー線も少なく、上手にレイアウトしてあるように思いました。
これが故障するとしたら、衝撃で水晶振動子が壊れるか電解コンデンサが不良化するか、くらいでしょうか。
それよりも、一番の問題は、9V電池006Pを使っていることで、これは、電源を入れたまま1日放って置くと、完全に“事切れ”て(つまり完全?放電して)しまいます。(私も、“ヤッチャッタ!”)
(最近では、百五円ショップにも置いてるから、急いで買いに走ればいいのですが...)
尚、マイクはピエゾ型を使っていました。(左写真<クリック>)
受音周波数幅が狭いから、こんなのでも十分なのでしょうね。
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